室生寺と言えば女人高野として古くから親しまれ、また金堂を中心に、十一面観音菩薩像、十二神将立像、釈迦如来立像、釈迦如来坐像など、数々の優れた仏像でも非常に有名です。
定番ルートは、最寄り駅の室生口大野駅から、直通バスで一気に室生寺まで行く、というものですが、もちろん徒歩でも行けます。
ここでは、自然道で森の中をトレッキングしながら、さらに清潔感と風情のある集落の中を歩きながら室生寺にたどり着くルートを写真付きでご紹介したいと思います。
電車に乗る
奈良市中心地から出発する場合、JR奈良駅から、もしくは近鉄奈良駅からになります。
JR奈良駅から
JR奈良駅からの方が少しだけ運賃が安上がり(2017年1月2日現在で670円)です。所要時間も大差ありません。なので、もし宿泊地からの距離が近鉄奈良駅とJR奈良駅とであまり差がないなら、こちらをおすすめします。
JR奈良駅からは、JR桜井線の王寺方面行きに乗り、桜井駅で下車します。桜井駅で近鉄大阪線の青山町・榛原方面行きに乗り換え、室生口大野駅で下車します。
近鉄奈良駅から
近鉄奈良駅から室生口大野駅への運賃は750円で、JRよりも少しだけ高いです。
近鉄奈良駅からは、近鉄奈良線に乗り、大和西大寺駅で下車します。大和西大寺駅で近鉄橿原線に乗り、大和八木駅で下車します。
大和八木駅で近鉄大阪線の青山町・榛原方面行きに乗り換え、室生口大野駅で下車します。
JR桜井線(万葉まほろば線)に乗る
私はJR桜井線(万葉まほろば線)に乗りました。普通列車なのにクロスシートで車窓からの景色も見やすく、通常のロングシートよりも少しだけ贅沢な気分に浸れます。
こんな感じの車窓の景色が延々と続きます。高低差がほとんどなく、ずっと平地なのが印象的でした。ちなみに「奈良」の語源は「ならされた(平らになった)」土地という意味だそうです。
大神神社(おおみわじんじゃ)の鳥居が見えます。
三輪駅です。初詣客で賑わっています。一瞬寄り道したい衝動に駆られましたが、時間的に無理なことは明らかなので断念しました。
三輪駅の次が桜井駅です。ここでJRから近鉄大阪線に乗り換えます。
室生口大野駅~大野寺
室生口大野駅から室生寺までの徒歩のコースをグーグルマップで表したかったのですが、カバーされていなかったので、別のアプリを利用してトラッキングしました。
室生口大野駅に到着しました。駅前のロータリーはこんな感じです。
駅前の通りはこんな感じです。閑静です。宇陀川という清流に沿って敷かれています。
室生口大野駅から徒歩3分くらいのところに、大野寺というお寺があります。
入山料300円と書いてますが、無人です。無人販売所はこの辺には多いですが、有料の拝観受付が無人なのは珍しいですね。
境内はこんな感じです。この寺は、樹齢300年と言われるしだれ桜が有名なようですが、当然ながら今の季節は丸坊主でした。
このお寺からは、宇陀川の岸壁に彫られた磨崖仏を遥拝(遠くから拝む)することができます。うまいこと考えましたね。
大野寺を出て、宇陀川沿いに歩きます。
三叉路を左に行き、その先にある赤い鉄橋を渡ります。
何でもない、よくある山間部の自動車道を少し行くと、こつ然と現れる「東海自然歩道」の緑色の看板。
この道が、今回のメインです。
薄暗く、ひんやりしていて、湿気を帯びた、まさに森の空気です。
この清流に沿って、数キロの距離をトレッキングすることになります。
水がきれいなので、手ですくって飲んでみます。冷たくておいしいです。
岩や伐採された杉が苔むしています。何とも言えない風情があります。
伐採した後に、さらにチェーンソーでぶつ切りにしたのでしょうか。ダルマ落としを連想してしまいました。
森の道という感じですね。
深い淵です。水が青いです。
三叉路を右に進みます。
道が悪くなってきました。
暗い中に差し込む光の特別感と言ったらないです。
赤いキノコのようなカビのような、不思議な光景です。
素敵です。
随分前に捨て置かれた特殊車両が見えます。
廃墟感が半端ないですね。
ますます道が険しくなってきます。
この辺は光が届かず、かなり暗かったのですが、この部分だけ光が差し込んでいました。
だいぶ佳境に近づいてきました。
いわくありげに大きな岩がポツンとあります。こういう岩を見るとなぜか神を感じてしまいます。典型的な日本人ですね。
岩を境にして、道が下り坂に転じます。しかも舗装整備もされていて、文字通り峠を越えたようです。
木々の向こうに建物が見えます。もうすぐ出口です。
ようやく出口です。
閉ざされた扉ですが、誰でも自由に開けて出入りできるみたいですね。
謎の設備です。
この施設は、「室生山上公園芸術の森」というそうです。上の謎の設備は一種のオブジェでしょうか。残念ながら1~2月は休館だそうです。
美術館の前を自動車道が横切っていますが、構わず前進します。自然道はまだまだ続きます。
○○家代々之墓というやつでしょうか。構わず道なりに進みます。
自然道は室生寺周辺の集落を突っ切って延びています。それにしても何とも言えない清潔感があります。
何年か前に福岡の宗像大社を訪れた際も、その周辺の清浄さに心を打たれた記憶があります。神域や聖域というものは、人々の営みが作り上げるものなのかもしれません。
遠くに見える赤いものは、室生寺に通じる太鼓橋です。
さらに進むと、木材で組んだ垣があります。石垣はよくありますが、木は珍しいですね。いい仕事をしています。
完全に民家の真っ只中です。自分の家の前を見ず知らずの観光客が行き交う毎日は、どんな気分なのでしょうか。
通り抜けたところに室生寺の赤い太鼓橋が見えてきます。
この太鼓橋、ずいぶん評判がいいようで、「カッコイイ」などと言いながら写真をパシャパシャ撮っている観光客が何人かいました。
太鼓橋を渡り切って右折すると、三本の立派な杉が出迎えてくれます。
受付で拝観料を払って中に入ります。りっぱな仁王門が見えます。
ちなみに室生寺では、入ってすぐのところにこういう広い休憩所があって、喫煙や飲食が自由にできるようになっています。
食べ物を持ち込んでゆっくり食べられる場所がある寺院や神社はなかなかないので、とても嬉しいですね。
急な石段を登ると、国宝の金堂です。中に鎮座する数々の仏様たちは、あまりにも有名です。
金堂に向かって右に、見慣れないお堂があります。新しいのですが、檜皮葺の屋根だけは古めかしいです。おそらく造替したのでしょう。
謎のぐるぐるです。
金堂に向かって左には、弥勒堂があります。ご本尊の弥勒菩薩立像の向かって右隣に国宝の釈迦如来立像、左隣に修験道の創始者である役行者像がいらっしゃいます。
金堂からさらに石段を登ると、国宝の潅頂堂があります。
さらに登ると、国宝の五重塔があります。かつて台風により、杉の大木が倒れて五重塔に直撃し、大打撃を受けましたが、幸いにも修理可能な状態で、見事復活しました。
その杉の切り株がこちらです。中が腐ってウロになっていますね。
さらに上には奥の院があるのですが、残念ながら時間の都合で、ここまでで引き返すことになりました。
帰りはバスに乗ります。太鼓橋を渡って右折します。後は道なりに200メートルほど歩くとバス停です。室生口大野駅まで行きます。
バスは時間に1本しか来ないので、事前によく計算して行動するとよいと思います。
以上、室生口大野駅から室生寺までを徒歩で行くルートの紹介でした。
天気の良い日に森の中を歩くのは、何とも言えない爽快さがあります。時間と体力に余裕のある人は、ぜひ一度お試しあれ。
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