コバルトはビタミンB12の構成成分として、DNAなど核酸の合成や、骨髄で赤血球のもとである赤芽球の正常な合成などに関わります。

また、たんぱく質や脂質の代謝や、神経細胞を正常に保ち、体内で利用された葉酸を再活性化させる働きもあります。

そんなコバルトの働きや多く含む食べ物、欠乏症や過剰症などについて簡単にまとめてみました。

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コバルトとは

コバルトは成人の体内に約1.5~2mgほど含まれ、ビタミンB12の構成成分として欠かせないミネラルです。

ビタミンB12の働き、食べ物、欠乏症や過剰症、吸収や葉酸との関係

古くからガラスや陶磁器などを青く彩色する鉱物として知られていました。

1935年頃にビタミンB12の構成成分として発見され、十分に鉄を摂取するだけでは貧血が改善しないことから、その必要性が認識されるようになりました。

なお、ビタミンB12の物質名はコバラミンといいます。これは「コバルト」と「ビタミン」を掛け合わせた造語です。

コバルトの働き

コバルトはビタミンB12の構成成分として、DNAなど核酸の合成や、骨髄における赤血球の合成に関わっています。

他に、脂肪酸の合成、たんぱく質やアミノ酸の代謝、エネルギー産生などにも関与しています。

また、体内における葉酸の再生産にも関わっています。そのため、ビタミンB12が不足すると、体内の葉酸も不足するようになります。

葉酸の働きや効果、食べ物、取りすぎや不足、妊娠初期との関係は?

他に、神経細胞の機能を維持する働きもあります。

コバルトの欠乏症

コバルト欠乏症はビタミンB12欠乏症に準じます。

具体的には、赤血球のもととなる赤芽球が正常に発達せず、巨赤芽球となり、正常な赤血球が不足して巨赤芽球性貧血悪性貧血症状を引き起こします。

なお、このビタミンB12の造血機能は、葉酸と協力して行われるため、どちらか片方が不足しても巨赤芽球性貧血に陥ります。

他に、精神病、疲労、記憶障害、抑うつ状態、運動失調などの症状を引き起こす可能性があります。

コバルトの過剰症

ビタミンB12は内因子による特殊な機構により吸収量が調節されているので(1回の食事で2μg程度まで)、通常の食品による過剰摂取の心配はありません。

実験的に大量にビタミンB12(シアノコバラミン)を投与しても過剰症は認められませんでした。

ただし、血漿中のビタミンB12濃度が高いと、がんを発症するリスクが高まる可能性があるという報告があります。

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コバルト(ビタミンB12)の多い食品、消化吸収

コバルト、ビタミンB12の多い食品

ビタミンB12は魚介類やレバー、乳製品など動物性食品に含まれ、海苔や納豆などごく一部の例外を除いて植物性食品には含まれません。

コバルト(ビタミンB12)の多い食品はこちら

植物性食品には青菜類や豆類などにコバルト単体として多く含むものがあります。牛などの草食動物の場合、胃の中に住む微生物によって植物由来のコバルトからビタミンB12が合成されます。

ただし、ヒトの場合はコバルト単体を体内に吸収しても作用しないと考えられており、ビタミンB12として摂取する必要があります。

そのため、厳格なベジタリアンはビタミンB12が不足しやすいです。サプリメントなどからしっかり摂取する必要があります。

コバルト(ビタミンB12)と内因子、消化吸収

また、ビタミンB12の吸収には、胃から分泌される内因子と呼ばれる糖たんぱく質の作用が必要です。

そのため、萎縮性胃炎の人や、胃酸の分泌の少ない高齢者、胃の切除手術を受けた人などは、ビタミンB12を吸収できず、巨赤芽球性貧血から悪性貧血に陥りやすくなります。

なお、内因子による吸収機構は、一度の食事につきわずか2μg程度のビタミンB12しか処理できません。それを超えた分は、胆汁に排泄されてしまいます。

内因子の働きについてはこちら

その他コバルトについて

・ビタミンB12の1日あたりの摂取基準(推奨量、耐容上限量)

・ビタミンB12を多く含む食品の品目

・ビタミンB12の上手な摂り方

これらについてはすべてこちらを参照してください。↓↓
ビタミンB12の摂取基準、多く含む食品、上手な摂り方

↓↓各ビタミン・ミネラルの働き、多く含む食べ物や食べ方、欠乏症や過剰症などについて

こちらでビタミン・ミネラルについて、簡単にまとめています。

主要(多量)ミネラル
カルシウムと骨、ビタミンD、エストロゲン
リンと骨、細胞膜、DNA、インスタント食品
マグネシウムと骨、心筋梗塞、生活習慣病
ナトリウムとむくみ、高血圧、カリウム、減塩対策
カリウムと高血圧、脳卒中、ナトリウム、腎臓

微量ミネラル
鉄分とヘム鉄、非ヘム鉄、不足の症状、女性の摂取量
亜鉛と味覚、成長、生殖機能、インスリン
銅と貧血、白髪、抜け毛、鉄や亜鉛との関係
マンガンと骨の成長、糖脂質代謝、性機能
ヨウ素と甲状腺ホルモン、乳幼児の発達
セレンと抗酸化作用、水銀やヒ素やカドミウムの毒性
クロムとインスリン、糖質・脂質代謝、発がん性
モリブデンとプリン体、尿酸、アルコール、貧血
コバルトとビタミンB12、貧血、葉酸

脂溶性ビタミン
ビタミンAとβカロテン、抗酸化作用
ビタミンDと骨とカルシウム
ビタミンEと過酸化脂質と抗酸化作用
ビタミンKと骨と血液凝固と新生児

水溶性ビタミン
ビタミンB1とアルコール
ビタミンB2と脂質の代謝
ナイアシンとアルコール、トリプトファン
ビタミンB6とアミノ酸、つわり、月経前症候群
葉酸と妊娠、DNA、動脈硬化
ビタミンB12と葉酸の関係、欠乏症、消化吸収の特徴
パントテン酸と糖質・脂質の代謝、神経伝達、善玉コレステロール
ビオチンと卵白、アトピー、血糖値、胎児