私はかつて、一瞬だけ糖質制限ダイエットを実践したことがあります。
結果的には失敗でしたが、収穫も少なくありませんでした。
私が糖質制限ダイエットで具体的に何をしたのか、どういう経過をたどって、どんな結末になったのか、そこから何を学んだのか、以下はその個人的な体験談になります。
糖質制限ダイエット前夜
私は20代までは痩せ型で、いくら食べても太らなかったのですが、30代に入ってからじわじわと体重が増え始め、気がついたら20代の痩せていた頃よりも10キロ近く太ってしまっていました。
その体重で高値安定してしまっていたのですが、たまに体重計に乗ると、体脂肪率・内臓脂肪・BMI・体年齢などで、いつも心外な数字が出てくるので、正直言って愉快ではありませんでした。
時々思いついたようにダイエットを始めるのですが、理論も何もなく、行き当たりばったりでやっていたので、うまくいくはずがありませんでした。
恥ずかしながら、周りから
「1日2食じゃなくて、朝もちゃんと食べた方がいい」
「食事の時は野菜から先に食べるといい」
ということを何度もアドバイスされましたが、まったく聞く耳を持っていませんでした。
「2食を3食に増やして痩せるなんてウソだろう」
「どんな順番でも結局全部胃の中に入るわけだから一緒だろう」
と単純に思っていました。
もっと正確に言うと、その頃の私にとって「ダイエット=食べない」ことでしたから、それ以外の食べ方とかタイミングとか何を食べるか、といったことは、取るに足らない枝葉末節にしか思えなかったんですね。
ダイエットの要素のすべてを100としたときに、食べないことが99で、食べる順番とか頻度といった要素はせいぜい1程度だろう、くらいに思っていたのです。
ですから、世の中に○○ダイエットというものが出回っても、まったく見向きもせず、単純に食事を抜いたり絶食したりすることだけがダイエットだと、素朴に考えていたわけです。
実際、食事を抜いたり量を減らしたりすると、すぐに体重が落ち始めます。1、2週間で数キロほど落とせるので、安心して元の食生活に戻ってしまい、再びリバウンドすることを繰り返していて、ほとんど意味がありませんでした。
ダイエット中にひもじい思いをするだけ損だった、とも言えます。とは言え、
ダイエットを思い立つ→とりあえず食事制限→すぐに体重が落ちる→安心してダイエットからフェードアウト→リバウンド→ダイエットを思い立つ→…
のループを何度も繰り返しているうちに、さすがにもうちょっとまともなダイエット法を実践した方がいいと思うようになりました。
糖質制限ダイエットを思い立つ
それで始めたのが糖質制限ダイエットだったのです。
糖質を取り過ぎると、余剰の糖質が脂肪に変わってしまう、だから糖質を制限すれば体脂肪を増やすこともなく、痩せることができる。
とても分かりやすい話ですぐに飲み込めたうえ、実践もしやすそうなので、すぐにこの方法でダイエットに取り組むことにしました。
具体的には、ご飯を食べるのをやめました。
代わりに、豆腐を主食にするようになりました。
また、おからパウダーや大豆粉やふすまを買ってきて、パンもどきを作って食べたりしていました。他にも、これをパン粉代わりにしてフライもどきにしたり、ハンバーグもどきを作ったりなど、とにかく糖質をできるだけ避ける食生活に切り替えました。
もちろん砂糖やデンプンを多く含むお菓子も避けていました。甘い物が欲しい時は、エリスリトールというカロリーのない天然甘味料をなめていました。
ちなみにふすまパンを作る時、砂糖代わりにエリスリトールを使っていたのですが、全然膨らまなくて往生しました^^;
そんな禁欲的な?食生活をしばらく送っていると、単純な食事抜きとは違い、きちんと食べているのに体重が減っていくので、「おお~」と驚嘆したのを覚えています。
私が経験した糖質制限ダイエットの副作用
しかし、副作用も出てきました。
まず、とにかくお通じがしんどくなりました。自分には全く無縁のことだと思っていたのですが、ものすごく硬くなっていて、ちょっとやそっとでは出なくなりました。
また、食事が楽しくなくなりました。ハッキリ言って、おからパウダーやふすまは、美味しいものではありません。まずい、とまでは言いませんが、抵抗なく食べられるようにするためには、味付けや調理の仕方をかなり工夫しなければなりません。
また、調理の手間も無視できません。特殊な食材なのでレシピも少なく、米や小麦粉や砂糖といった普通の食材で通用するセオリーが通用しません。そのため、とにかく失敗しやすく、手間もお金もかかりました。
・お通じがしんどい
・食事が楽しくない
・調理の手間が大変
今思えば、この3点だけでも、この自分流の糖質制限ダイエットがうまくいかないことは明らかです。
目標体重まで落としたところで、きっとその瞬間にこんな食生活とはさっさとおさらばして、その後あっという間にリバウンドしていたことでしょう。今の私が「しっかり食べて痩せる王道のダイエット」を推奨するのは、これが理由です。
もしあなたが何らかのダイエットノウハウに興味があるのなら、糖質制限でもスムージーでも単品でも何でもいいのですが、取り掛かる前にこう自問してみましょう。
私は目標体重に到達した後も、3年5年10年と、同じ食生活を続けられるだろうか?と。
できなければやめた方が良いと思います。ほぼ確実にリバウンドします。
とは言え、その頃の自分は、上に挙げた3点を自覚しながらも、「これがダイエットなんだ」と、一種の苦行のようにとらえており、断念するつもりはさらさらありませんでした。
きっとその頃は「ダイエットとはつらいのが当然で、そのつらさに耐えて乗り越えなければ成果は得られないものだ」と思っていたのだと思います。
今にして思えば、こういう考え方はダイエットに限らず、大抵の場合ものごとに失敗するメンタリティなのですけどね。
糖質制限ダイエットに挫折した日
と言っても、私がこの糖質制限ダイエットに失敗したのは、目標体重に達した後リバウンドしてしまった、というパターンではありませんでした。
ある日、とてつもなく頭がぼんやりして、気分が悪くなったのです。倦怠感があって、視界が妙に暗かった印象があります。立っているだけでもしんどくて、すぐに座り込んで動けなくなるような状態でした。
そういう状態は、今まで経験したことがありませんでした。貧血だとか熱中症だとか高山病のような病気の経験は一切なかったのですが、この時はさすがにヤバいと思いました。
原因は一つしか思い当たりません。糖質の絶対的不足です。私は慌てて手近にあったジュースやお菓子を摂取し、横になって安静にしてしのぐことにしました。
すると、しばらくするとだんだん容態が落ち着いてきて、事なきを得ました。
それで私の糖質制限ダイエットは終了し、ふたたび元の水準(以上)にリバウンドしてしまいました。
糖質制限ダイエットの失敗から学んだダイエットの本質
しんどい経験でしたが、人間にとって糖質というものが、いかに必要不可欠なものであるかを身にしみて痛感できた、貴重な体験でした。
このような失敗を経験したからこそ、その次のダイエットでは、始める前に徹底的に理論を勉強して臨むことができたのです。
今では極端な糖質制限など考えられません。ダイエットで大事なのは、バランスよく食べること、適度に運動すること、カロリーを必要摂取量より少しだけ抑えること、これだけです。
そして、何より大事なのは、その節制した生活をダイエット終了後もずっと続けることです。言葉を変えると「ずっと続けられる節制生活の内容・リズム・パターンを確立させること」です。
これこそがダイエットの本質で、成功するすべは他にはありません。
1ヶ月や2ヶ月ではなかなか身に付きませんが、3ヶ月4ヶ月と続けていくと、いつの間にか定着します。逆に言うと、最低でも3ヶ月4ヶ月は続けられる負荷で、余裕を持って始めることが肝要ということです。
もしあなたが今度のダイエットを人生最後のものにしたいと考えているなら、意気込まずに「ユルく」始めましょう。ダイエットは高い山を登るのと同じで、最初から飛ばすと途中で力尽きてしまいます。
ユルく始めて、日々自分の心や身体と対話して様子を見ながら調整していく。心と身体がつらそうだったら、そのサインを見逃さず、つらくなく楽しめる方向に合わせていく。もちろん節制という大前提に立った上でです。
ダイエットに限りませんが、物事はとにかく楽しんで取り組むことが大事です。私の(おそらくやり方を間違えた)糖質制限ダイエットは、反面教師的にそれを私に教えてくれたのでした。
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