単品ダイエットは有名ですよね。
ダイエット経験者の中には、一度は試してみたことがある人も多いのではないでしょうか。
単品ダイエットは、短期的には体重減少という点で効果が出やすいものです。
さらに、単純明快さもあって、実践者が多いダイエット法です。
その一方で、単品ダイエットはリバウンドしやすく、健康を損なうリスクも少なくないなど、長期的に見ると決して好ましいダイエット法とは言いがたいようです。
以下に、単品ダイエットの仕組みやリスクについて述べてみたいと思います。
単品ダイエットとは
単品ダイエットとは、その名の通り、一種類の食品だけを食べ続けるというダイエットです。
具体的には、バナナならバナナだけを1日3食、それを毎日続けるというものです。
バナナ以外には、リンゴ、キャベツ、卵などがよく取り上げられます。
糖質や脂質の高い食物(米やパンやうどん、脂身の多い肉やスイーツなど)を一切摂らないので、一日の摂取カロリーを非常に低く抑えられ、その結果体脂肪を減らすことができるというダイエット法です。
キャベツならキャベツと決めてしまえば、何も考えずにひたすら3食キャベツだけを食べていればよいのですね。
ある意味取り掛かりやすいダイエット法なので(意志の強さは必要ですが)、非常に多くの実践者がいるようです。
単品ダイエットの仕組み
単品ダイエットは、何と言っても摂取カロリーを非常に低く抑えられるというのがポイントです。
単品ダイエットに使われる代表的な食べ物のカロリーは以下のとおりです。
バナナ1本:80kcal
リンゴ1個:120kcal
キャベツ100グラム:25kcal
卵1個:80kcal
1日に必要な摂取カロリーは、20代男性で2300前後、20代女性で1600前後とされていますので、単品ダイエットによって非常に低い水準に抑えられることが分かると思います。
例えばバナナだけを1日10本食べても、800kcal程度なので、20代男性(女性)のおおよその基礎代謝量である1500(1100)kcalさえも大幅に下回ります。
ここで仮に1日10本のバナナダイエットを実践したとしましょう。
1日の摂取カロリーを800kcal、基礎代謝を含めた消費カロリーを2000kcalくらいとすると、1日に1200kcalのマイナスになります。
体脂肪1グラムがおよそ7.2kcalなので、この場合は1日に
1200÷7.2≒167(グラム)
もの体脂肪を落とすことができる計算になります。
これを1ヶ月続けると、167×30≒5キログラムの減量ができる、という計算になります。
3ヶ月なら、約15キログラムの減量ですね。
これだけ聞いたら、ものすごい減量効果のあるダイエット法に思えますよね。
この絶大(に見える)な減量効果に惹かれて、単品ダイエットを実践する人が後を絶たないようです。
単品ダイエットのリスク
しかし、この計算はあくまで机上のものに過ぎません。
実際にはこうはならず、またリスクも大きいです。
単品ダイエットのリスクは、以下の2点に集約されます。
・栄養が偏る
・リバウンドしやすい
それぞれ見ていきましょう。
単品ダイエットのリスクその1:栄養が偏る
これは言うまでもないですよね。
例えばバナナには
糖質
食物繊維
ビタミンB6
ビタミンC
マンガン
マグネシウム
カリウム
といった栄養素を豊富に含みます。
これだけ聞くと、バナナはかなり優秀な栄養源であり、確かにそうなのですが、それでもバナナだけでは、タンパク質やビタミンAやビタミンEやカルシウムなどを十分に補うことができません。
例えばタンパク質は、筋肉や皮膚や髪や爪のもととなる栄養素です。
これが不足すると、筋肉は落ち、皮膚や髪や爪もボロボロになってしまいます。
いくら体重を落とせても、そのような不健康な姿になってしまっては本末転倒ですよね。
単品ダイエットのリスクその2:リバウンドしやすい
単品ダイエットのもう一つのリスク、それは「リバウンドしやすい」という点です。
単品ダイエットに限らないのですが、短期間で急激に体重を落とすダイエットほどリバウンドしやすいです。
なぜなのでしょうか?
それは、
「極端なカロリー制限は、太りやすい身体をつくってしまう」
からです。
人間の身体は良くできていて、外部の環境や状況に合わせて体質を柔軟に変貌させていくことができます。
急に極端なカロリー制限を行い、生きていくのに最低限必要な基礎代謝もまかなえない状態になると、身体は「このままではまずい」と自らの基礎代謝を落としていくのです。
飢餓状態に適応するために、カロリーを消費しにくい身体に作り変えていくわけですね。
その状態でダイエットを数ヶ月続けていくと、終わる頃には基礎代謝の水準がとても低い状態になっています。
それだけではありません。
身体が少ない食物からできるだけ多くの栄養を得ようとして、エネルギーの吸収効率もアップするのです。
その状態で以前の食生活の水準に戻してしまうと、摂取カロリーが消費カロリーを大幅に上回ってしまい、どんどん体脂肪として溜まってしまう、というわけです。
挙句の果てには、ダイエット前よりも体重を増やしてしまう、という結果になってしまいます。
これが、極端なカロリー制限が太りやすい身体をつくってしまうメカニズムです。
まとめ
以上、単品ダイエットの仕組みとリスクについて見てきました。
確かに単品ダイエットで極端にカロリー制限をすると、我慢や苦痛を強いられることから、「自分は頑張っている」という一種の満足感のようなものを持ってしまう人もいるかもしれません。
さらに、短期的にはみるみる体重が減っていくのを目の当たりにできるので、その我慢や辛抱に拍車がかかってしまうこともあるかもしれません。
しかし、以上に述べた2つの理由、
・栄養が偏って体調を崩してしまう
・リバウンドしやすい体質になってしまう
ことから、長期的に見ると非常にリスクの高いダイエット法と言えます。
ダイエットは体重を減らして終わりではなく、体重が落ちた状態を以後ずっと、何十年も保ち続けなければ意味がありません。
そのためには、一生続けられる、無理のない、適切な摂取カロリーで栄養バランスの取れた食生活を確立することが、結局は一番の近道だと言えます。