栄養のエネルギー(熱量)の単位としてカロリーが使われますが、三大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質の重量とカロリーの関係を知っておくと、食べた食事のカロリー計算がやりやすくなります。
その結果、どのくらい食べたらどれだけ太るのか、どのくらい運動したらどれだけ痩せるのか、の見当も付けやすくなります。
まず、そもそもカロリーとは何なのか、ということから見ていきたいと思います。
カロリーとは
よくダイエットなどで、「カロリーを消費する」「カロリーを摂取する」という表現が出てきますね。
この表現を見ると、カロリー(cal)とは要するにエネルギー(熱量)のことを表しているように見えます。
しかし、実際には、カロリー(cal)とはエネルギー(熱量)の単位であって、エネルギーそのものではありません。
1cal=1グラムの水を1℃上昇させるのに必要なエネルギー(熱量)
として定義されています。
ダイエットや運動や栄養などで使われる「カロリー」は、通常は「キロカロリー」(kcal)です。キロは千倍を表すので、
1kcal=1リットルの水を1℃上昇させるのに必要なエネルギー(熱量)
となります。
例えばご飯茶碗一杯の白米が240kcalと言った場合、その白米には240リットルの水を1℃上昇させるエネルギーが含まれているということです。
24リットルの水を10℃上昇させるエネルギーとも言い換えられます。
かなり大きなエネルギーですよね。
こうやって摂取したエネルギー(カロリー)は、運動や消化などの活動に使われます。
例えば、1時間散歩すれば200kcal前後を消費しますし、じっとしているだけでも1時間あたり、自分の体重分のカロリー(60キロの人なら60kcalくらい)を消費していきます。
その結果、成人男性が一日に必要とする摂取カロリーは2300kcal前後、成人女性は1600kcal前後とされています。
私たちが日々生きていくのには、膨大なエネルギーが必要なのだということが分かりますね。
三大栄養素から生み出されるエネルギーは?
さて、三大栄養素と言われる炭水化物、タンパク質、脂質それぞれの生み出すエネルギ―は、どれほどなのでしょうか?
一言で炭水化物、タンパク質、脂質と言っても、それぞれいろんな種類がありますが、平均的には以下のようになります。
炭水化物は1グラム当たり4kcal
タンパク質は1グラム当たり4kcal
脂質は1グラム当たり9kcal
例えば、サラダ油やオリーブ油などは100%脂質ですので、10グラム(小さじ2杯程度)で90kcalあります。
白米のご飯100グラムには、炭水化物が37グラム、タンパク質が3グラム、水分が60グラムほど含まれますので、おおよそ
4×37+4×3=160kcal
くらいになると計算できます。
カロリーと摂取量と体重(体脂肪)の関係は?
摂り過ぎたカロリーは、体内に脂肪として蓄積されてしまいます。
では、どのくらい食べれば、どのくらい太るのか?
人間の脂肪細胞の大部分(8割近く)は脂肪ですが、残りは水分などが占めるので、実際に脂肪細胞1グラムに含まれる脂肪は、0.8グラム程度です。
ですので、1グラムの体脂肪を落とすためには、
9×0.8=7.2kcal
のエネルギーを消費すればよいということになります。
脂肪1キログラムなら7200kcalですね。
大変そうに見えますが、逆に言うと、1キログラム太るためには、7200kcalを余分に摂取する必要があるということです。これを食べ物に換算すると、
白米なら、茶碗一杯で240kcalくらいなので、30杯。
バナナなら、一本80kcalくらいなので、90本。
つまり1キログラム痩せるのと同様、1キログラム太るのも(実は)簡単ではない、ということです。
人はそう簡単に太らないし、痩せない
上の計算からも分かるように、少々の暴飲暴食では、一夜にして1キロ太った!なんてことはほとんどありえません。
体重が増えたように見えるのは、胃腸に入った食べ物の重さのせいです。
尿や便として排出されれば、すぐにほぼ元通りになりますので、そんなに心配しなくて良いです。
ただ、それを毎日のように続けると、さすがに太ってしまいますけどね。
太るときは、脂肪が一気にドカンと身体に溜まるわけではありません。
太るというのは、左官さんがコテで壁にちょっとずつセメントを塗り重ねていくように、毎日ちょっとずつ、ちょっとずつ、脂肪が身体にまとわりついて行く過程です。
ですので、落とす方も、本当にちょっとずつ、ちょっとずつしか落とせません。
○○を飲んだから、食べたから一瞬で何キロも痩せる、なんていうことはありません。
結局ダイエットに近道はなくて、コツコツと痩せる習慣を積み上げていく他はないということですね。