ダイエットについて、よく「成功」や「失敗」という表現が使われます。

失敗についてはよく分かるのですが、「成功」についてはどうなんでしょうね?

私は、ダイエットに関しては、そう簡単に「成功」はできないと考えています。

正確に言うと、「ダイエットはそう簡単に成功かどうかを判定はできない」ということです。

そう考える理由について以下に述べてみたいと思います。

広告

そもそもダイエットの目的は何か?

健康面(内臓脂肪、血糖値、中性脂肪、血圧など)と美容面(スリムな体型)がダイエットの二大目的になると思いますが、いずれにせよ、直接的には「体重(脂肪)を減らす」ということが目標になっていることは確かです。

では、体重や脂肪を十分に落とせれば、それでダイエット成功と言えるのか?

言えない、と個人的には思います。理由は2つです。

1.リバウンドしたら意味がない
2.健康を損なったら意味がない

つまり、「リバウンドせず」、「健康的である」状態をずっと続けられて初めてダイエットに成功した、と言えるということです。

この二つの条件を満たすためには、ダイエットはどのようなものでなければならないのでしょうか?

リバウンドしないダイエットの条件とは?

ダイエット後にリバウンドしない条件はただ一つ。

それは、ダイエットが終わった後も、ダイエット中のような節制した生活をずっと送らなければならない、ということです。

つまり、「節制」した状態が当たり前の習慣になっていなければならない、ということです。

ダイエットを実現するためには「摂取カロリー<消費カロリー」の不等式を満たす必要があります。

そして、目標体重に到達した後も、少なくとも「摂取カロリー消費カロリー」の不等式を満たし続けなくてはなりません。

3年後も、5年後も、10年後も、ずっとです。

リバウンドする人は100%、ダイエット後にこの不等式を手放してしまっています。

つまり、摂取カロリー>消費カロリーという生活に戻ってしまっているんですね。

逆に言うと、ダイエット中だけ「摂取カロリー<消費カロリー」の不等式を満たしていたに過ぎない、ということです。

ですから、どのようなダイエット方法を採るかを見れば、その人が将来リバウンドするかしないかは、かなりの高確率で分かります。

単品ダイエットや置き換えダイエットや断食などで、極端なカロリー制限をしてしまった人は、ほぼ確実にリバウンドしてしまいます。

では、なぜ極端なカロリー制限はリバウンドを誘発しやすいのか?

大きな理由は2つあります。

1.極端なカロリー制限は「太りやすい身体」「痩せにくい身体」を作る
2.極端なカロリー制限はいつまでも続けられない

それぞれ見ていきましょう。

広告

1.極端なカロリー制限は「太りやすい身体」「痩せにくい身体」を作る

極端なカロリー制限によって体重を落とした場合、身体はリバウンドしやすい体質に作り変えられてしまっています。

人間の身体は、自分の置かれた環境に合わせて体質をかなり柔軟に変えられます。

人体のこの性質は「ホメオスタシス」(恒常性)と呼ばれます。

簡単に言うと、極端なカロリー制限をしてしまうと、身体が

「ヤバい!食糧不足だ!飢餓状態だ!消費カロリーを抑えなきゃ!」

と判断してしまうんですね。

その結果、基礎代謝が下がり、いわゆる「燃えにくい身体」に変化してしまいます。

燃えにくい、とは、痩せにくい、ということですが、別の側面では、飢えにくい、ということでもあります。

さらには、食べ物を摂取したとき、身体が

「貴重な食糧だ!できるだけ無駄なく栄養をしっかり消化吸収しよう!」

と頑張るようになり、カロリーの吸収効率も上がってしまうのです。

飽食の現代社会の私たちには、なかなか憎い性質ですが、数百万年の人類の歴史のほとんどは「いかに飢餓を克服するか」の歴史でもあったわけですから、仕方ないですよね。

極端なカロリー制限は「意図的に飢餓状態を作り出す」ことでもあります。

このことは、私たちの身体の、眠っていた防衛本能のスイッチを入れることにもなるわけです。

2.極端なカロリー制限はいつまでも続けられない

ホメオスタシスの影響以上に、極端なカロリー制限によるダイエットがリバウンドしやすい最大の理由がこれです。

ホメオスタシスだろうがなんだろうが、極端なカロリー制限を未来永劫続けられれば、リバウンドすることはないでしょう。

しかし、極端なカロリー制限のような人間の生存本能に逆らった行為は、いつか終わりが来ます。

簡単に言うと、耐えられなくなります。

ダイエット中は、痩せるという大目標があり、その目標達成のために、つらいカロリー制限も歯を食いしばって頑張ってきた。

それだけに、ひとたび目標達成してしまうと、タガが外れてしまい、堰を切ったようにドカ食いを始めてしまう人が実に多いです。

そして、一度タガが外れると、もはや歯止めが効かず、とめどなく食いまくってしまいます。

その上に、ホメオスタシスの影響で、より太りやすい体質に変わってしまっていますから、あれよあれよと言う間にブクブクと太り始めてしまいます。

その結果、ダイエットを始める前よりも体重が増えてしまうのです。

そのため、初めてダイエットに挑戦する人に比べ、過去に2回3回とダイエット&リバウンドを繰り返した経験のある人の方が、格段に難易度が上がってしまうのです。

朝昼晩とリンゴだけを食べる、とか、スムージーだけを飲む、といったたぐいのダイエット法は、ほぼ100%リバウンドすると考えてよいです。

なぜなら、10年も20年もリンゴばかり食べ続けたり、スムージーだけを飲み続けたりなんてことは、普通の人には不可能だからです。

ダイエットを終えて、カロリー摂取量を戻した途端に、リバウンドへの道にまっしぐらです。

極端なカロリー制限によるダイエット法は、数字の上では、確かに短期間で大きな効果を挙げることができます。

しかし、上に挙げた理由によって、その成果を維持し続けることはほぼ不可能です。

ですので、もし極端なカロリー制限によるダイエットをしたいのならば、たとえば夏に水着を着る、とか、ボクシングの試合のために減量が必要、とか、お芝居の役作りのため、といった、短期間かつ一時的に身体を絞らなければならない場合に限るのがよいと思います。

結局、リバウンドしないダイエットの条件としては、

1.ダイエット期間中:摂取カロリー<消費カロリーの不等式を満たすこと
2.ダイエット終了後:摂取カロリー消費カロリーの不等式を満たすこと

の2つが絶対です。

極端なカロリー制限を行うと、1はともかく、2が難しくなってしまいます。

スムーズに1→2に移行するためには、

・カロリー制限はほどほどに(1日あたりの摂取カロリーと消費カロリーの差がせいぜい300kcal程度)

・摂取カロリーを減らすことだけでなく、消費カロリーを増やすことを考える(運動をする、筋トレをする

この2つを意識するとよいです。

次ページ:健康を損なわないダイエットの条件とは?