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2.健康を損なわないダイエットの条件とは?

さて、ダイエットでリバウンドしないことと同じくらい、もしくはそれ以上に重要なことに「健康を損なわない」という要件があります。

極端な話、餓死してしまったりしたら、元も子もないですからね。

そこまで行かなくても、ダイエットという行為は、今までよりも食事量を大幅に減らすということですから、当然摂取する栄養量も減ります。

極端なカロリー制限は、体重の減少という点で、短期的には目覚ましい成果をもたらしますが、深刻な栄養失調を招く恐れがあります。

たとえば、いわゆる糖質制限ダイエットで、糖質を完全に断った超低カロリーの食生活を続けた結果、慢性的な倦怠感やめまいがするようになり、通常の生活を送ることさえ困難になった、というケースもままあるようです。

カロリーというのは、人間が活動するエネルギーの源、自動車で言うとガソリンです。

極端なガス欠はこのような事態を招きます。

それだけではありません。私たちは食事によってカロリーだけではなく、さまざまな栄養素を摂取しています。

五大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなどです。

他にも、食物繊維やフィトケミカル(ファイトケミカル)などがあります。

フィトケミカルというのは、カテキンやリコピンやアントシアニンやカプサイシンといった、植物の色や香りや苦味のもとになっている成分です。

五大栄養素は、いずれも1日あたり必要な量というのがあり、極端に不足すると身体に様々な異変をきたすことが知られています。

この五大栄養素のうち、カロリーに寄与するのは三大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質です。

>カロリーとは?炭水化物・タンパク質・脂質の摂取量や体重との関係は?

カロリー制限というのは、要するにこの3つを減らすことで摂取カロリーを制限しようというものです。

炭水化物ならご飯を減らす、タンパク質や脂質なら肉を減らす、などです。

しかし、この3つを減らそうとすると、宿命的に後の2つ、ビタミンとミネラルの摂取量も減ってしまいます。

ビタミンやミネラルは、身体が正常に機能するためになくてはならないもので、これが欠乏すると様々なトラブルが引き起こされます。

>ビタミン・ミネラルの働き、欠乏症や過剰症

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サプリメントで栄養を満たすのは難しい理由

それならサプリメントで補えばいいじゃないか、という声もあるかもしれませんが、これら栄養素の不足をサプリメントだけで補うのは困難です。

というのも、ビタミンやミネラルなどの栄養素は、単独で力を発揮するのではなく、お互いに補い合って初めて作用するという性質があるからです。

例えば赤血球の合成には、葉酸とビタミンB12が互いを補い合って働きます。

どちらか片方が欠けても、赤血球を造ることはできず、悪性貧血を引き起こします。

他には、魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は、必須脂肪酸ですが、非常に酸化しやすいという弱点があります。

そのため、強力な抗酸化作用を持つビタミンEと共に摂取する必要があります。

他にも例えば、吸収効率という点でも、糖質の代謝に関わるビタミンB1は、ニラなどに含まれる香り成分のアリシンと共に摂取すると、吸収効率が格段に向上することが知られています。

このように、栄養素というものは、お互いに複雑な相互作用を及ぼしあいながら効果を発揮しています。

ですので、サプリメントをあれこれ組み合わせて調節して飲む、というやり方では、必要十分なだけの栄養を摂取するのは、難しいと思います。

また、とくに脂溶性ビタミンなど、過剰症の恐れもあるので、サプリメント摂取の際には注意が必要です。

結局正しいのはバランスよくきちんと食べること?

もっと言うと、まだまだ未知の栄養素が食べ物の中には存在するかもしれません。

脚気というビタミンB1の欠乏症は古くから知られていましたが、ビタミンB1が発見されるのは20世紀に入ってからです。

上で述べたフィトケミカルが注目されるようになったのは最近のことです。

サプリメントというのは、現時点で人類が認識している栄養素を補っているに過ぎません。

普段私たちが食べたり飲んだりしているものの中には、まだまだ未知の、重要な栄養素があるかもしれません。

そして、その未知の栄養素が、私たちの健康に本質的な貢献をしている可能性も少なくないわけです。

ですから、栄養というものは、基本的に食べ物から総合的にバランスよく摂取するのが正しいです。

江戸時代の人は、ビタミンB1の存在も、脚気の原因がその欠乏であることも知りませんでした。

でも、白米食を玄米食に切り替えたり、蕎麦を食べると脚気が予防できることは経験的に知っていました。

食べ物の摂取量を減らすと、カロリーのみならず、ビタミンやミネラルその他の栄養も減ってしまいます。

これらの栄養素が欠乏すると、様々な病気が引き起こされます。

そして、それをサプリメントなどで補うのは限界があります。

ですから、ダイエットの際にも、食べる量は極端に減らすべきではない、そして、バランスよく栄養を摂取することを心がけなければならない、という結論になります。

これが健康を損なわないダイエットのもっとも重要な条件になります。

まとめ

ダイエットは、

リバウンドしない
健康を損なわない

この2つの条件を満たさなければ本当の意味で「成功」することはほぼ不可能です。

そのために必要なダイエットが満たす性質としては、次の3つが挙げられます。

カロリー制限はほどほどに(1日あたりの摂取カロリーと消費カロリーの差がせいぜい300kcal程度)

・摂取カロリーを減らすことだけでなく、消費カロリーを増やすことを考える(運動をする、筋トレをする)

・カロリーのみならず、栄養バランスを考慮した食生活

イメージとしては、「現状維持の生活態度からいくぶん制限する」といった程度の強度で行うのが良いと思います。

目先のことにとらわれて、極端なことをやると、短期的には効果が出ているように見えても、長期的には何にもなりません。それどころかマイナスになる可能性も高いです。

自分を甘やかしてしまうのはもちろんダメですが、無闇に自分に厳しくするのも逆効果ですね。

自分の忍耐力やモチベーションを客観的に評価した上で、自分に対する追い込みを精神的余裕を持ってコントロールできている感覚で取り組むと、うまく行きやすいのではないかな、と個人的には思います。